創造ストーリーVol.3 おしゃれで便利な鋳鉄製フライパン、スキレット

わんぱく組

ネットが
火付け役
となって
一大ブームを
巻き起こしているスキレット鍋。
その開発から、人気に応える
量産体制づくりまで、
知られざる秘話を公開します。

『熱しやすくて冷めにくいから、おいしい料理ができる』『そのままお皿としても使えて、食卓をおしゃれに演出できる』など、ネットを起点とした口コミで一大ブームを巻き起こしているスキレット鍋。“ニトスキ”の愛称で親しまれ、通算販売実績が100万個を突破したこの商品は、いかにして生み出されたのか?その秘密にせまります。

Episode1開発お客様の期待を上回る価格設定を。

魅力があるのに、価格がネックとなって市場に浸透していない商品は意外と多いもの。そんな“隠れた人気商品”を研究して、お求め安い価格で提供し、お客様が気軽に購入いただけるようにすることも、ニトリが提案する“豊かさ”の一つ。今回、紹介するスキレット鍋は、その代表格と言える商品です。
ステーキ皿がほしい…そんなお客様の声から検討を開始しましたが、ステーキ皿そのものではなく、あえてスキレット鍋に注目したのは、用途を限定しない方がご家庭でも受け入れやすいのでは、と考えたからでした。そこで、適正価格を検討したところ、百貨店などでは数千円で販売されている一方、「100スキ」として一時話題になった百円均一ショップからは価格が折り合わずに姿を消していました。これらを踏まえ、お客様の期待を上回る価格設定として、ワンコイン=500円をターゲットに開発をスタートしたのです。
スキレットの魅力は、何といっても熱伝導の良い鋳鉄でできていること。当時は鋳鉄製品を扱った経験が少なかったため、メーカーの発掘や品質管理には多くの苦労が伴いました。長年にわたり海外で培ったモノづくりのネットワークを駆使するなど、他社にはない強みを活かして、何とか実現にこぎつけることができました。

Episode2量産化ネットで口コミから爆発的な人気に。

社内では賛否両論だったスキレット鍋ですが、いざ試験的に販売してみると、数週間後には『ニトスキで食卓をおしゃれに!』といった写真付きの投稿がネット上を席巻。お試し感覚で購入できる価格設定に加え、お客様の間で「2個買って1個は蓋として使用する」という新しい使い方が広がったこともあり、注文が殺到。“お客様に愛称で呼ばれる商品はヒットする”という格言通り、店頭では品切れが続出する事態となりました。
想像を上回る早さと規模で拡大するブームに応えるべく、急遽、量産体制づくりに着手することに。とはいえ、スキレットは手づくりの工程が大半であり、鋳鉄を扱える工場は限定されていたため、難航しました。1日でも早く商品をお届けしたいという思いから、対応可能な工場を探すために各地の駐在員や経験豊富なバイヤーから情報をかき集めました。さらに、見つかった工場と生産ノウハウや品質基準を共有したり、半自動化ラインを導入したりと、奮闘の甲斐あって、数カ月後には需要に応じた供給体制を実現できました。

2016年12月31日付「リビング千葉」に掲載されました

Episode3使い方提案お客様に“使い込む楽しみ”を提案。

スキレット鍋は鋳鉄製のため、フッ素コーティングされた一般的なフライパンと違って、“シーズニング”と呼ばれる使用前後のお手入れが必要になります。使い慣れた方にとっては、シーズニングを繰り返すことで、スキレット鍋を“育てる”のも魅力の一つであり、ネット上でも多くのお客様が動画サイトなどでその楽しさを広めていました。しかしながら、初めて手に取られたお客様からは『すぐにこげつく』『錆びやすい』といったお声もいただきました。
そこで、鋳鉄の鍋を使用されたことのないお客様にも気軽に、正しくお使いいただけるように、説明書をより詳細な内容へリニューアル。こうした取り組み一つひとつが、ブームのさらなる拡大に寄与し、二トリでは初めて日経トレンディのヒット商品ベスト100に選ばれました。
商品そのものの価値に加えて、その商品を通じた豊かなライフスタイルを提供する、それもまた「お、ねだん以上。」のカタチの一つなのです。